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遠い親戚

子供の頃、国内のあちこちに親戚がいるように世界中にも親戚がいて、彼らに会いに世界中を旅できるだろう、と勝手な辻褄をあわせていた。


限りある人生ならば、そのくらいのことは保証されているはずだと。


しかし、実際には海外に親戚なんて一人もいないことを知り、少しばかりショックを受けたのを覚えている。


盲点や制約から解かれて、行先も決めず何の根拠もなく何処かに向うことができる

ーアートにはそんな不思議な時空の感覚がある。


それは「広い世界と人生の保証」を信じていた子供のころの“勝手な辻褄”と、どこか似ている。


私の知らぬところで、私の作品が見ず知らずの他人にとっての“遠い親戚”のような存在になっていたら面白い。


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